医療における品質は、第一義的に「安全」
BSI: ISO9001の認証取得当時のお話をお聞かせください。
原氏: 当院が認証を取得した時のISO 9001は94年版で、産業系のISOだったのでサービス業には全く当てはまらず理解するのに苦労しました。2000年版や2008年版からサービス系に変わってきて馴染んできました。また、医療は特殊な分野ですので、医療における品質ということが浸透していくのにも時間がかかったように思います。認証を取得した当時は、審査員の方も医療の専門の方ではなかったので、正直なところ審査でもどう答えていいか分からないような質問もあって。今は専門の方に審査していただき、的確な質問や客観的な裏付けをもって説明していただけます。やはり審査員の力量はとても大きいと感じています。
アントニオ氏:医療の分野に限らず、品質とは何かを理解するのはとても難しいものです。私は医療における品質は、第一義的に「安全」であるべきだと考えます。患者さまだけでなくスタッフもですが、その安全なくして質の高い医療を提供することはできません。次に、「管理」です。今日は質が高くて、翌日は質が低い、ということがないようにコントロールすることが重要です。最後に「改善」です。医療分野においては、常に改善の余地があると信じています。さらに言えば、「効率」も求められるようになりました。これは世界中で言えることですが、どの医療施設も財政的に厳しい状況に直面しています。私は、QMSは「効率」を高めるためにも役立つと考えています。そういう意味で、QMSは投資です。
▲ 医療管理本部 品質管理部長 アントニオ シルバ ペレス様
BSI: QMS運用の取り組みで工夫されている点を教えてください。
原氏: 各部署に必ず1名の内部監査員がいるように養成し、監査員を通じて指摘事項の対応を率先して進められる体制にしています。現在は80名程度の監査員がいます。内部監査員の養成研修は病院内部でやっています。審査員の5日間コース(※1)を受けた人が講師をできるということにしています。