2024年2月23日、国際認定機関フォーラム（IAF）とISOは、既存のマネジメントシステム（MS）規格および開発改訂中のすべての新規格に影響を与える、調和構造（Harmonized Structure）に追加された2つの新しいテキストステートメントに関する共同声明を発表しました。これは、マネジメントシステムの意図した結果を達成する能力に対する気候変動の影響を考慮する必要性に対処するものです。彼らは気候変動に関するISOロンドン宣言を支持しています。
もちろん、マネジメントシステムはそれぞれ異なる影響を受けます。品質マネジメントシステムに対する影響と、安全衛生マネジメントシステムに対する影響とは大きく異なる可能性があります。
最も重要なことは、気候変動の影響を考慮する際に、組織が自身の組織と業界にとって意味のあるものを確立する必要があるということです。気候変動が関連していると判断した場合、それがあなたにとって何を意味するか、そしてそれに対して何をするかはあなたの組織が決定することになります。規格には常に、マネジメントシステムに影響を与えるすべての問題を考慮する必要があると記載されているため、気候変動についてはすでに考慮されている可能性があります。
変更された顧客要件を満たし、他の利害関係者の要求事項に対応できるようになるなど、あなたはメリットや機会をすでに経験しているかもしれません。気候変動への配慮を通じてサステナビリティの課題へのコミットメントを示し、マネジメントシステムの支援によって事業へのそれぞれの影響を示すことができる企業は、ますます複雑化するビジネスの場において競争優位を享受できる可能性があります。
気候変動とは何か？
気候変動とは、気温や気象パターンの長期的な変化を指します。このような変化は、太陽の活動の変化や大規模な火山の噴火によって自然に起こることもあります。しかし、1800年代以降、人間の活動が気候変動の主な原因となっています。主に石炭、石油、ガスなどの化石燃料の燃焼が原因です。
化石燃料を燃やすと排出される温室効果ガスは、地球を包む毛布のような役割を果たし、太陽の熱を閉じ込めて気温を上昇させます。気候変動を引き起こしている主な温室効果ガスには、二酸化炭素とメタンガスがあります。これらは、例えば車の運転にガソリンを使ったり、建物の暖房に石炭を使ったりすることから生じます。土地を開墾したり森林を伐採したりすると二酸化炭素も放出されます。農業、石油・ガス事業はメタン排出の主な原因です。エネルギー、工業、運輸、建築物、農業、土地利用は、温室効果ガスを発生させる主なセクターです。
出典：国連ウェブページ
ISOによる気候変動の定義は、数か月から数千年、数百万年にわたる長期間、通常は数十年以上にわたって継続する、一定期間にわたる関連量の平均と変動性の観点から見た気象の統計的記述の変化です。
出典：ISO 14050:2020 環境マネジメント用語集
何を考慮すべきでしょうか？
マネジメントシステム認証の期待される成果が何であるかを覚えておくことが重要です。IAFとISOは次のように定義しています。
「定義された認証範囲について、認証されたマネジメントシステムを有する組織は、特定のマネジメントシステム規格の適用範囲（「条項1」）で定義された目標を達成するためのポリシーとプロセスを備えている」。
影響を受けるマネジメントシステム規格は次のとおりです。
ISO 22301:2019セキュリティとレジリエンス - 事業継続マネジメントシステム
ISO 37301:2021コンプライアンスマネジメントシステム
ISO/IEC 27001:2022情報セキュリティ、サイバーセキュリティおよびプライバシー保護 - 情報セキュリティマネジメントシステム
ISO 50001:2018エネルギーマネジメントシステム
ISO/IEC 20000-1:2018情報技術 - サービスマネジメント
ISO 37001：2016贈収賄防止マネジメントシステム
ISO 44001:2017協力的なビジネス関係マネジメントシステム
ISO 14001:2015環境マネジメントシステム
ISO 22000:2018食品安全マネジメントシステム
ISO 45001:2018労働安全衛生マネジメントシステム
ISO 9001:2015品質マネジメントシステム
FAQ
何をすればいいですか？
気候変動が自社のマネジメントシステムに関連する問題であるかどうかを検討する必要があります。もしそうであれば、他の関連事項と同様に、マネジメントシステムの範囲内で、システムの目的とリスク評価の中で検討しなければなりません。
BSIの監査人は、この変更された要求事項にどのように取り組むのでしょうか？
認証された組織は、マネジメントシステムの目的、戦略的方向性に関連し、意図した結果を達成する能力に影響を与えるすべての内部および外部の問題をすでに特定している必要があります。時間の経過とともに、組織にとってこれらの問題は変化する可能性が高いため、気候変動が考慮されることになります。
当社は、気候変動を含むすべての内部および外部の問題が、当社の顧客によって関連性があるかどうかが判断され、関連性がある場合はマネジメントシステムの開発と効果に考慮されていることを確認するために、これらの条項を継続的に監査します。この変更には移行措置がないため、これは2024年の次回監査に含まれることになります。あなたが自身の組織のマネジメントシステムに関連する問題ではないと判断した場合、当社、この判断を下すプロセスの効果を監査し、該当する場合は関連する措置を実施します。
改正に伴う移行プロセスはありますか？
いいえ。この改正は公表日から有効となり、気候変動が新たな改正に含まれるのは、既存の要求事項を明確にするためだけであるため、実施のための移行措置はありません。
BSIは今後、すべての監査にサステナビリティの専門家を起用するのでしょうか？
いいえ。BSIのビジネスプロセスでは、お客様のインダストリーセクターと関連するマネジメントシステムに精通した監査人を常に確保します。条項4.1および4.2を監査する際、BSI監査チームは、組織が気候変動およびマネジメントシステムとの関連性を考慮していることを確認します。
BSI監査チームは、あなたの組織が気候変動について考慮していることを確認し、関連性が認められた場合には、それがあなたの組織の目標やリスク評価に含まれていることを確認します。あなたが関連性がないと判断した場合、BSI監査チームは、この判断のプロセスが有効であることを確認します。
監査時間が追加されると、コストが増加することになりますか？
いいえ。
証明書を再発行する必要がありますか？
いいえ、マネジメントシステム規格の改正を認める目的のみで改正証明書を発行する必要はありません。
BSIの認定に影響がありますか？
いいえ。当社の認定は有効であり、認定スケジュールに変更は想定されません。一部の認定機関（ABs）は、すでにこれらの改正について独自の通知を発行しています。BSIはいくつかのABsとも話し合いを行い、社内コミュニケーションを共有しており、好意的に受け止められています。
改定された規格のコピーはどうすれば入手できますか？
この決議では、多くのマネジメントシステム規格の改正を自動的に公表するようISOに要請しました。これは2月23日に発生し、このときこれらの改正はISOによって無償で提供されました。
BSIから規格を購入しているクライアントについては、今後数週間にわたり、これらの規格の電子統合版が過去の購入者に無料で提供される予定です。これについては、BSIクライアントに別途通知されています。
BSIから受けられるその他のサポートはありますか？
はい、あります。この分野の理解をサポートするために当社が提供できるその他の関連研修 コースや規格について、また、お客様が活用できるその他の関連マネジメントシステム認証および検証ソリューション（ISO 14001、ISO 50001など）についてのご相談をご希望の場合は、当社までお問い合わせください。
