実用性、利便性、安全性のために、プラスチックは、社会が大きく依存する素材となっています。薬包、食品包装、携帯電話ケースなど、社会の習慣の変化とともにプラスチックの需要は伸びています。2021年、世界のプラスチック生産量は今世紀初頭から倍増し、年間約4億トンになったと報告されました。
多くの場合、プラスチックは必要不可欠な役割を果たしているかもしれませんが、このような使用量の増加は、プラスチック汚染と廃棄物の増加を意味します。2015年には、これまでに生産されたすべてのプラスチックの60%が廃棄物となったと報告されました。今日、廃プラスチックは大気、土壌、淡水、海洋に存在しています。OECDのデータによれば、廃プラスチックは2060年までに3倍になる勢いで増加し、その約半分が埋め立て処分され、5分の1未満がリサイクルされるということです。
プラスチック汚染は、生息地や自然のプロセスを変化させ、何百万人もの人々の生活、食料資源、社会的ウェルビーイング、身体的健康に直接影響を与えることで、さまざまな形で社会に影響を及ぼします。道端、浜辺、川岸、都市の河口、さらには埋立地周辺のゴミのようなプラスチック汚染の一部は、少なくとも原理的には元に戻すことができます。地域規模では、個人の責任感、清掃活動、廃棄物収集インフラの改善などを奨励することで、このようなプラスチック汚染を取り除くことができます。しかし、長期間にわたって環境中に放置されると、放置されたプラスチック汚染は天候の影響でマイクロプラスチックやナノプラスチックの粒子に分解され、環境から簡単に除去できなくなります。リサイクルや除去がより複雑な地球上の多くの遠隔地では、回復しにくい風化したプラスチック汚染がすでに大量に蓄積しており、陸地と海洋の生物多様性に重大な影響を及ぼしています。
結局のところ、プラスチック汚染を真に減らすには、社会が廃プラスチックの発生を減らす必要があります。これは世界的な課題であり、少なくとも世界のある地域の廃棄物がその地域だけに影響を及ぼすわけではないからです。
その一例が世界の水資源です。毎年1,900万～2,300万トンの廃プラスチックが水生エコシステム（生態系）に入り込み、湖、川、海を汚染しており、現在、プラスチック汚染は海洋ゴミ全体の85%を占めています。プラスチックは水質に影響を与える可能性があり、 世界中の淡水と海洋エコシステム（生態系）の両方がマクロおよびマイクロプラスチックで汚染されていることを示唆する証拠があります。地球上の水のうち淡水はわずか1～3%で、利用可能と考えられるのはわずか0.5%であるため、プラスチック汚染は世界的な水不足の問題を増大させるだけです。
プラスチック汚染に対処し、環境を保護し、水資源を守るために、政府、組織、個人が協力する機会があります。アースデイ のような世界的なイニシアティブは、この機会を捉えて、2040年までにすべてのプラスチックの生産を60%削減するキャンペーンを展開しています。しかし、私たちの生活や仕事の多くの側面にプラスチックが存在する中で、どうすればこの社会の変化を促進してポジティブな変化を起こせるのでしょうか？
プラスチックの使用量を減らし、その結果、水の安全な未来のために廃プラスチックを減らすために、組織が取ることのできる措置をいくつか紹介します。
自主的なイニシアティブに参加する
まず利用可能な解決策を理解するために、組織は自主的なイニシアティブに参加することができます。このようなイニシアティブは、プラスチック汚染の削減を約束し、NGO、政府、その他の組織と協力して進展を加速させるために、組織を支援することができます。英国、 欧州、 インドのプラスチック協定、 プラスチックフリーコミュニティ、 プラスチックバンク、世界プラスチック条約、そしてまもなくBSIから提供されるOperation Clean Sweep（OCS）認証などのイニシアティブはすべて、プラスチック汚染に取り組むためのツールやガイダンスを提供し、知識を共有し変化を促すために組織をつなげるイニシアティブの例です。
プラスチックフットプリンティング
プラスチックフットプリントネットワークのようなイニシアティブは、プラスチックフットプリントを理解するための科学的ガイダンスと方法論を提供し、組織を支援しています。カーボンフットプリントの測定と同様に、製品、サービス、業務で使用されるプラスチックの環境への影響を評価することで、組織は改善の余地を特定し、削減に向けて意味のある措置を講じ、現実的で信頼性の高い目標を設定できます。
同僚を巻き込む
持続可能な世界に向けた前進を加速させるには、組織全体からのインプットが必要です。社内の文化とエンゲージメントは、組織のサステナビリティの目標を達成する鍵となり得ます。組織は、教育的な講演、地域の清掃活動を通じて、また必要なインフラやユーティリティを提供することによって、同僚が自分たちのプラスチック使用量を削減できるようにし、プラスチック削減文化を根付かせることができます。これは、ろ過された水道水の提供、再利用可能な食堂用品の提供、敷地内の廃棄物マネジメント施設の改善などの措置が考えられます。同僚が問題に取り組む力を与え、自分たちがどのようにポジティブインパクトを与えられるかを理解させ、行動を変えるようサポートすることは、ポジティブな変化を推進するための基本的なステップです。
循環経済の考え方を取り入れる
循環経済とは、製品のライフサイクルの各段階を考慮することで、資源の投入、廃棄物、排出物の生成を最小限に抑えるように設計された経済モデルです。再利用や再目的のために製品を設計する原則を実践することで、組織やそこで働く人々は、プラスチックやその他の材料の消費をより効果的に削減できるようになります。組織は、製品設計を超えて、廃棄物の拒否、廃棄物を生み出す製品の使用削減、再利用、別の目的への転用、そして最終的にはリサイクルという5Rなどの循環性をビジネス戦略に組み込むこともできます。
サプライチェーンへの関与
持続可能な調達慣行は、組織のサプライチェーンが環境的に責任を持ち、社会的に倫理的であることを保証するのに役立ちます。サプライチェーンと積極的に関わることにより、組織は、プラスチック周辺を含むサステナビリティの目標を達成するための協力関係を育むことができます。これには、改善の機会を特定し、ベストプラクティスを共有し、相互のサステナビリティ目標と一貫した報告方法を確立することが含まれます。
プラスチックの消費にポジティブな変化をもたらし、関連する廃棄物が社会や環境に与える影響を軽減するために、組織とその中にいる個人は、社内外の業務において行動を起こす機会があります。持続可能な未来とは、陸地や水源にプラスチック汚染のない未来です。それはプラスチックをなくすことではなく、その使用を効果的に管理するために私たちが持っているツールを使うことなのです。今こそ、これを達成するために社会全体で協力する時です。
